赤ちゃんの頃から筋肉ムキムキの子っているの?
トレーニングに励む方の中には、赤ちゃんの筋肉に興味を持っている方がいるかも知れませんね。基本的にぷにぷに、もちもちのイメージですが、筋肉ムキムキの赤ちゃんは存在するのでしょうか。
このページでは、赤ちゃんの筋肉を調整する仕組みや、筋肉ムキムキ赤ちゃんの有無などを解説しています。気になる方は参考にしてください。
Contents
赤ちゃんの筋肉量
過去の研究によると、赤ちゃん(新生児)の筋肉量は体重の23~25%程度と考えられています。人の筋肉量は、体重の40%程度といわれているので、大人に比べると赤ちゃんの筋肉量は少ないといえます。ただし個人差が全くないわけではありません。
筋肉ムキムキとまではいえなくても、生まれつき筋肉量の割合が高い赤ちゃん、低い赤ちゃんはいると考えられます。赤ちゃんの筋肉量はどのように調整されるのでしょうか。
参考:発育発達研究第74号:乳幼児(0~2歳)の(把)握力調査とその発達経過の検討:田口喜久恵、遠藤 知里、栗田 泰成、田村 元延
赤ちゃんの筋肉量を調節する仕組み
大人に比べると筋肉量の割合は低いものの、赤ちゃんの身体にも筋肉はついています。また大人と同じように個人差もあります。赤ちゃんの筋肉量は、次の要素などにより調整されている可能性が示唆されています。
出生後6カ月は褐色脂肪細胞が影響を与える
赤ちゃんの筋肉量に影響を与えていると考えられているのが脂肪細胞です。脂肪細胞は、余ったエネルギーを蓄える白色脂肪細胞と、脂肪を燃やして熱をつくり肥満を予防する褐色脂肪細胞に分かれます。過去に行われた研究によると、出生後6カ月間の褐色脂肪細胞の変化は、筋肉と関係している可能性があるようです。
具体的には、この間に褐色脂肪細胞の減少が少ないと、筋肉が発達しやすい可能性が示されています。筋肉は運動により発達するものと考えられていますが、出生後6カ月間の赤ちゃんに運動量の差はほとんどありません。よって赤ちゃんの筋肉量の差は、運動以外の要素が関係していると考えられます。そのひとつとして、褐色脂肪細胞を挙げることができるのです。
赤ちゃんの筋肉増加のカギはビタミンD
赤ちゃんの筋肉量に影響を与えていると考えられているのは、褐色脂肪細胞だけではありません。ビタミンDの摂取も筋肉量に影響を与える可能性が示唆されています。具体的に、どのような影響があると考えられているのでしょうか。
ビタミンDを摂取すると筋肉が増える可能性がある
赤ちゃんがビタミンDを摂取することによる影響を調べるため、生後1カ月の健康な赤ちゃん(132名)に、1日あたり400IU・800IU・1,200IU・1600IUのビタミンDを生後12カ月まで与える研究が行われました。3歳時点で体組成などを測定したところ、ビタミンDの血中濃度が一定以上の子どもは、体脂肪量が優位に少ないことなどが分かりました。
赤ちゃんがビタミンDを摂取することにより、体脂肪が減って筋肉が増える可能性が示唆されています。ビタミンDは紫外線を浴びることにより体内で生成することができます。子どもの脂肪や筋肉が気になる方は、赤ちゃんと一緒に散歩をするとよいかもしれません。
生まれつき筋肉が発達している赤ちゃん
赤ちゃんの筋肉量の平均は体重の23~25%ですが、世界にはこれを大きく上回る赤ちゃんもいます。続いて、生まれつき筋肉が発達している赤ちゃんを紹介します。
ドイツのスーパーマッスルベイビー
生まれつき筋肉が発達しているスーパーマッスルベイビーとして知られているのが、ドイツの赤ちゃんです。元プロアスリートを母に持つこの赤ちゃんは、新生児病棟に入院したときから、太ももと上腕の筋肉がはみ出すほど発達していたそうです。
生後6日に行われたエコー検査で、太もも筋肉の断面の面積が平均の2倍以上あることがわかりました。その後も、筋肉量と筋力は増え続け、4歳の時点で、腕を伸ばした状態で3㎏のダンベルを2本、水平に吊り下げることができたとされています。まさにスーパーマッスルベイビーといえるでしょう。
アメリカのスーパーマッスルベイビー
アメリカミシガン州ルーズベルトパークの赤ちゃんも、スーパーマッスルベイビーとして知られています。生後1歳7か月の体重は約10㎏で平均を下回りますが、筋肉量は一般的な子どもより40%も多かったそうです。
生後2日の時点で、支えさえあれば立つことができた、生後5カ月の時点で両手を持てば十字懸垂の姿勢をとれた、生後9カ月で階段を上り下りできたなどの逸話も残っています。彼もスーパーマッスルベイビーといえるでしょう。
参考:abc NEWS:Super Strong Kids May Hold Genetic Secrets
参考:うしおえ太陽クリニック:筋肉と遺伝子~ミオスタチンについて
筋肉肥大に関与する「ミオスタチン」とは
スーパーマッスルベイビー、あるいは赤ちゃんの筋肉量に深くかかわっていると考えられているのがミオスタチンです。ミオスタチンとはどのようなものなのでしょうか。
ミオスタチンは筋肉量に影響を与える
ここまで見てきてわかる通り、赤ちゃんの筋肉量には個人差があります。個人差を生み出している要因のひとつが、ミオスタチンと呼ばれる成長因子です。
筋線維から分泌されるミオスタチンには、筋線維のもとになる筋芽細胞の分裂を抑制することで筋線維が作られること、さらには筋肉が肥大化することを抑制する働きがあります。
胎児はミオスタチンの分泌が多い
ミオスタチンの分泌量は、出生前と出生後で異なります。出生前は分泌量が多く、出生後は分泌量が少なくなると考えられています。出生前の分泌量が多い理由は、赤ちゃんの成長を抑えるためです。ミオスタチンの分泌量が少ないと筋肉量が増えるため、赤ちゃんは大きく成長してしまいます。
生まれてくる赤ちゃんが大きくなりすぎると、出産のリスクが高くなりますよね。だから出産前はミオスタチンの分泌量が多いのです。出産後にミオスタチンの分泌量が少なくなる理由は、赤ちゃんの筋肉を素早く発達させるためです。自分で生活していかなければならなくため、ミオスタチンの分泌量は少なくなります。
赤ちゃんの筋肉が肥大する理由
筋肉量に個人差があるとはいえ、スーパーマッスルベイビーと呼ばれるほど筋肉が肥大するのはごく一部の赤ちゃんだけです。これらの赤ちゃんの筋肉は、なぜ大きく肥大するのでしょうか。
遺伝子突然変異
ミオスタチンの遺伝子に変異があると、赤ちゃんの筋肉は大きく肥大します。筋芽細胞の分裂を抑制するミオスタチンを正常に作れなくなるからです。
ミオスタチンを正常に作れないことで、マウスでは筋肉量が2~3倍になることがわかっています。
ミオスタチンの受容拒否
ミオスタチンが正常に分泌されていても、筋肉が大きく肥大する可能性はあります。筋肉がミオスタチンの受容を拒否するケースがあるからです。この場合も筋芽細胞の分裂を抑制できないため、筋肉量は増加します。
筋肉量は両親から遺伝するの?
筋肉に興味を持っている方の中には、スーパーマッスルベイビーが遺伝によりもたらされたものかどうかが気になっている方がいるかもしれませんね。筋肉量は両親から遺伝するのでしょうか。
遺伝すると考えられている
ミオスタチンの遺伝子に起きた変異は、受け継がれると考えられています。遺伝子は母親から受け継いだものと、父親から受け継いだものがセットになっています。よって変異が起きた遺伝子を受け継ぐ場合、両親の一方だけから受け継ぐケースと、両親の双方から受け継ぐケースに分かれます。
両親の一方だけから受け継ぐケースよりも、両親の双方から受け継ぐケースのほうが特徴は強く現れるようです。力自慢の子どもは、力自慢の両親から生まれやすいといえるかもしれません。
筋肉ムキムキの赤ちゃんは意外と多い
以上の通り、筋肉ムキムキの体質は両親から遺伝する可能性があります。ここで気になるのが、遺伝子の変異が起きる確率です。どれくらいの確率で筋肉ムキムキの赤ちゃんは誕生すると考えられているのでしょうか。
遺伝子の変異が起きる確率は200分の1以下
先ほど説明した通り、赤ちゃんの筋肉肥大にはミオスタチンの遺伝子の変異が関わっています。過去の研究によると、この変異が起きる割合は200分の1以下と考えられています。
よって両親のどちらかがミオスタチンの遺伝子に変異を持っている可能性は、200分の1以下、両親ともにミオスタチンの遺伝子に変異を持っている可能性は、40,000分の1以下となります。40,000分の1以下と聞くとかなり少なく感じますが、200分の1以下であればどうでしょうか。
意外と身近なところに、この遺伝子を持っている人がいると考えられます。話題になるほどではないにせよ生まれつき筋肉質の人は、もしかするとこの遺伝子を持っているかもしれませんね。
筋肉ムキムキの赤ちゃんは特別な遺伝子を持っているかも
赤ちゃんの平均的な筋肉量は体重の23~25%です。大人に比べると少ないといえるでしょう。ただし全ての赤ちゃんがこの範囲内に収まるわけではありません。赤ちゃんの中には、スーパーマッスルベイビーと呼ばれる子もいます。スーパーマッスルベイビーを生み出していると考えられているのが、ミオスタチンの遺伝子に起きた変異です。
この遺伝子に特定の変異が起きると、筋芽細胞の分裂を抑制できなくなるため筋肉量は増えます。ミオスタチンの遺伝子に変異が起きる確率は200分の1以下です。筋肉ムキムキの赤ちゃんは、特別な遺伝子を持っている可能性があります。
http://bodyke-live.com/tips/babys-muscle/http://bodyke-live.com/wp-content/uploads/2017/08/tim-bish-171738-1-1024x640.jpghttp://bodyke-live.com/wp-content/uploads/2017/08/tim-bish-171738-1-150x150.jpg豆知識トレーニングに励む方の中には、赤ちゃんの筋肉に興味を持っている方がいるかも知れませんね。基本的にぷにぷに、もちもちのイメージですが、筋肉ムキムキの赤ちゃんは存在するのでしょうか。このページでは、赤ちゃんの筋肉を調整する仕組みや、筋肉ムキムキ赤ちゃんの有無などを解説しています。気になる方は参考にしてください。赤ちゃんの筋肉量過去の研究によると、赤ちゃん(新生児)の筋肉量は体重の23~25%程度と考えられています。人の筋肉量は、体重の40%程度といわれているので、大人に比べると赤ちゃんの筋肉量は少ないといえます。ただし個人差が全くないわけではありません。筋肉ムキムキとまではいえなくても、生まれつき筋肉量の割合が高い赤ちゃん、低い赤ちゃんはいると考えられます。赤ちゃんの筋肉量はどのように調整されるのでしょうか。参考:発育発達研究第74号:乳幼児(0~2歳)の(把)握力調査とその発達経過の検討:田口喜久恵、遠藤 知里、栗田 泰成、田村 元延赤ちゃんの筋肉量を調節する仕組み大人に比べると筋肉量の割合は低いものの、赤ちゃんの身体にも筋肉はついています。また大人と同じように個人差もあります。赤ちゃんの筋肉量は、次の要素などにより調整されている可能性が示唆されています。出生後6カ月は褐色脂肪細胞が影響を与える赤ちゃんの筋肉量に影響を与えていると考えられているのが脂肪細胞です。脂肪細胞は、余ったエネルギーを蓄える白色脂肪細胞と、脂肪を燃やして熱をつくり肥満を予防する褐色脂肪細胞に分かれます。過去に行われた研究によると、出生後6カ月間の褐色脂肪細胞の変化は、筋肉と関係している可能性があるようです。具体的には、この間に褐色脂肪細胞の減少が少ないと、筋肉が発達しやすい可能性が示されています。筋肉は運動により発達するものと考えられていますが、出生後6カ月間の赤ちゃんに運動量の差はほとんどありません。よって赤ちゃんの筋肉量の差は、運動以外の要素が関係していると考えられます。そのひとつとして、褐色脂肪細胞を挙げることができるのです。参考:The Journal of pediatrics:Changes in brown adipose tissue and muscle development during infancy. :Ponrartana S,Aggabao PC,Chavez TA,Dharmavaram NL,Gilsanz V赤ちゃんの筋肉増加のカギはビタミンD赤ちゃんの筋肉量に影響を与えていると考えられているのは、褐色脂肪細胞だけではありません。ビタミンDの摂取も筋肉量に影響を与える可能性が示唆されています。具体的に、どのような影響があると考えられているのでしょうか。ビタミンDを摂取すると筋肉が増える可能性がある赤ちゃんがビタミンDを摂取することによる影響を調べるため、生後1カ月の健康な赤ちゃん(132名)に、1日あたり400IU・800IU・1,200IU・1600IUのビタミンDを生後12カ月まで与える研究が行われました。3歳時点で体組成などを測定したところ、ビタミンDの血中濃度が一定以上の子どもは、体脂肪量が優位に少ないことなどが分かりました。赤ちゃんがビタミンDを摂取することにより、体脂肪が減って筋肉が増える可能性が示唆されています。ビタミンDは紫外線を浴びることにより体内で生成することができます。子どもの脂肪や筋肉が気になる方は、赤ちゃんと一緒に散歩をするとよいかもしれません。参考:Pediatric Obesity:Vitamin D supplementation trial in infancy: body composition effects at 3 years of age in a prospective follow‐up study from Montréal:T. J. Hazell S. Gallo C....BodykeLIVE 編集部 atorange+bodykelive.general@gmail.comEditorBodykeLIVE