筋肉が壊れるとはどういうこと?壊れた筋肉はどうなるのか回復方法を解説
トレーニングをすると筋肉が壊れると聞いて、不安を抱えている方はいませんか。筋肉が壊れると、その量が減ってしまうように思えるので怖くなりますよね。

結論から述べると、筋肉が壊れても基本的にその量が減ることはありません。むしろ筋肉を増やすために必要な過程といえるでしょう。

このページでは、筋肉が壊れることの意味や壊れた筋肉の回復過程などを詳しく解説しています。

以下の情報を参考にすることで、安心してトレーニングに取り組めるはずです。気になる方は、参考にしてください。

筋肉が壊れるとはどういうことか

筋肉が壊れるとはどういうことか一般的にいわれている「壊れた筋肉」は、筋肉が損傷した状態と考えられます。より具体的には、筋線維が損傷した状態といえるでしょう。

筋線維の損傷と聞くと大変なことが起きているように思えますが、説明した通り筋力トレーニング後などにも起こります。筋線維が損傷すると、筋肉はどうなってしまうのでしょうか。

トレーニングなどで筋損傷が起こると、筋線維の細胞膜が壊れます。細胞膜の透過性に異常が生じるため、カルシウムイオン(Ca2+)が筋線維内に流入してその濃度は高まります。

カルシウムイオンには筋線維を収縮する働きがあるため、濃度が高まると筋線維は過収縮状態になり硬くなります。と同時に、カルパインというカルシウム依存性のタンパク質分解酵素が活性化し、タンパク質の融解・断片化が始まります。

つまり損傷した筋線維は壊死してしまうのです。壊死が始まり1~2日程度経過すると炎症反応がピークを迎えます。このときの痛みが、いわゆる筋肉痛です。

筋損傷の程度が軽いと、損傷直後に痛みは発生しません。筋力トレーニング後に痛みを感じないのは、筋損傷の程度が軽いからです。

筋損傷の程度がひどいと、筋組織まで断裂してしまいます。筋組織が断裂した部位では、強い痛みなどが生じます。

この状態が、いわゆる肉離れです。肉離れは、筋損傷の程度がひどいため回復に時間がかかります。同じ筋損傷ですが、筋力トレーニングでこのような状態になることはありません。

筋損傷により壊れた筋肉は、どのようになるのでしょうか。

筋肉が壊れる原因

筋肉が壊れる原因
筋繊維はとても細いため、軽く動かすだけでも損傷してしまいます。

つまり筋肉は、その動きにより壊れてしまうのです。特に普段使っていない筋肉を急に使ったときや、同じ筋肉を酷使したときなどに傷つきやすいといえるでしょう。

筋肉の壊れやすさは、運動の種類でも異なります。筋肉の収縮運動は、次の3種類に分かれます。

  • 伸張性運動
  • 短縮性運動
  • 等尺性運動

3つの中で、最も筋肉が壊れやすい運動が伸張性運動です。

例えばスクワットで膝を伸ばすときのハムストリング、ダンベル運動で肘を伸ばすときの上腕二頭筋などが伸張性運動に該当します。

筋肉を伸ばした状態でブレーキをかけるように力を発揮しなければならないので、大きな負荷がかかり、筋繊維が損傷しやすくなります

いずれにせよ、筋肉はその動きで壊れるため、トレーニングを行うと筋肉は壊れてしまいます。

壊れた筋肉の回復について

壊れた筋肉の回復について
筋線維が損傷すると、その筋線維はタンパク質分解酵素の働きにより壊死してしまいます。ただし、壊死が筋線維全体に広がることはありません。筋線維は非常に生命力が強いため、壊死は一部でとどまり再生・回復へと向かうのです。

筋線維が壊死すると、筋サテライト細胞と呼ばれる普段は活動していない細胞が活性化します。

筋サテライト細胞は、筋線維の壊死が始まって1日後から活性化し、筋芽細胞に分化・増殖します。

筋芽細胞は、筋線維のもとになる細胞です。3日程度かけて筋芽細胞の増殖が進むと、筋芽細胞は融合し筋管細胞に分化します。

誕生した筋管細胞は壊死した筋線維の両端をつなぎ、筋線維を再生します。厚生労働省によると、壊れた筋肉は修復されることで強くなります。

筋肉はレジスタンス運動を行うと筋線維の一部が破断されます。それが修復される際にもとの筋線維よりも少し太い状態になります。これを「超回復」と呼び、これを繰り返すと筋の断面積が全体として太くなり筋力が上がります。

出典:厚生労働省:筋力・筋持久力

筋肉を効率よくつけるためには、計画的な休息も必要です。疲労を回復しないままトレーニングを続けると、筋肉の中に結合組織性の繊維が増えて力を抜いても硬さがあまり変わらない筋肉になってしまいます。

しなやかな筋肉を手に入れたい方は、トレーニング後2~3日程度は休息期間を設けましょう。曜日ごとに鍛える部位を決めると、計画的に休息をとれます。

プロトレーナーからのアドバイス

プロトレーナーからのアドバイス
筋肉痛は、身体が休養を求めているサインと考えることができます。

筋肉に痛みを感じるときは、休息をとる、あるいは鍛える部位を変える方が良いでしょう。

ただし、筋肉痛がトレーニングをさぼる言い訳にならないように気を付けてください。わずかな痛みでトレーニングをやめてしまうと、せっかく付けた筋肉が減る原因になってしまいます。

無理をする必要はありませんが、痛みが軽いときはできる範囲でトレーニングを続けましょう。

トレーナーと相談しつつ、さらには自分の身体と相談しつつ、日々のトレーニング強度を調整するとよいかもしれませんね。

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