ヨガをする女性

こんにちはパーソナルトレーナーの渡辺です。

私たちの体には筋肉が多くついていますが、この筋肉にはちゃんと存在する理由があります。

トレーニングやダイエット、スポーツや日々の生活など、様々なことに「筋肉」は関わっているのです。

人間の体を経済として例えた場合、エネルギーの消費者となるのが「筋肉」です。

この筋肉が活発に働かなければ体は不景気と同じ状態になってしまいます。

場合によってはこの状態だと体を壊して病気になってしまったりもします。

また、そんな筋肉にも種類や効果に違いがあります。

スピード指向型の「平行筋」や力指向型の「羽状筋」など、筋繊維の並び方だけでも全く違う筋肉になります。

そんな筋肉の性質にも、多くの要因が関わってきます。

今回はそんな人の体にとって大切な「筋肉」についてご紹介していきましょう。

筋肉がないと体が「不景気」になる?

筋肉はなんのために存在しているのでしょうか?

まず始めに挙げなければならないのは、体を動かすためのエンジンとしての役割です。

人間を含む多くの生き物が活動するためには筋肉を動かさなければなりません。

もしも筋肉がなかったら?

そう、この筋肉が存在しなければ歩くことすら出来ないのです。

また、体の中で働いている組織や器官も筋肉が動かしています。

自分自身では体を動かさずじっとしていると思っていても実は動いています。

心臓は拍動を繰り返し、呼吸は自然と行われ、胃腸の蠕動運動が行われているのです。

表面上に現れる運動にしても、体内で行われている生命を維持するための臓器の運動にしても、全て筋肉による収縮が原動力になっているというわけです。

2つ目の役割は、重力などに対する姿勢の維持です。

ただ立っているだけでも、筋肉は体の中で常に力を継続して出しています。

座っている時や仰向けに寝ている状態のときも、低レベルながら体は緊張を保っていて、姿勢を保持しています。

この状態のことを専門用語で「トーヌス」と言います。

トーヌスとは少し異なりますが、それぞれの関節の周囲を取り囲むことにより、関節が正しい動きをするようにサポートするという役割もあります

これも広い意味として、姿勢を維持することに繋がっていると言えるでしょう。

3つ目の役割は、体内で熱を作ることです。

人を含めた恒温動物は、ある一定以上の体温を保たなければ生きていくことができず、人の場合であれば常に37度ほどの体温が保たれるようになっているのです。

しかし、気温は通常であれば37度よりも低いため、自分自身でエネルギーを消費することによって体内で熱を生み出していく必要があります。

その熱を生み出す上で、1番貢献していると言えるのが実は「筋肉」なのです。

体内の熱生産性の割合のうち、役6割が筋肉、2割前後が肝臓や腎臓、残りの2割程度が褐色脂肪によるものとされています。

熱を維持しているということは、恒常的にエネルギーを消費しているということです。

そして、その燃料として脂質や糖質が使われているのです。

もし仮に、筋肉による消費エネルギーのレベルが下がってきたとすると身体の中に余分な糖質や脂質が蓄積されてしまうということが起こります

その結果、メタボリックシンドロームなどの生活習慣病に陥ってしまうのです

つまり、「栄養素として体内に取り入れたものをエネルギーの源として利用する」という体内の過程がうまく回転し、代謝恒常性が維持されているのは筋肉のおかげと言えるのです。

経済に例えた場合、景気を維持するためには国民による消費活動が大切です。

お金を使って物を買うという行為が国全体として見た時に円滑になされている時に、経済は安定するのです。

これを人の身体に当てはめると、エネルギーを消費するのは筋肉です。

これが活発に動かなければ身体は不景気な状態に陥り、場合によっては病気になってしまうということになるのです。

 

筋力増加の仕組みは「地方自治」?

筋肉にはまだまだ役割があります。4つ目の役割は、身体を力学的ストレスから保護することです。

簡単に言うと、腹部を取り巻く腹筋や背筋があることによって、腹腔内の臓器は守られていることもこれに当てはまります。

自動車で言うならば、ボディがしっかりしているからこそ中の構造が正しい機能を行えるということですね。

5つ目として挙げられるのは、内分泌器官としての役割です。

最近の研究により、運動することで筋肉からある種の物質が分泌され、それが身体の多くの組織や器官に影響を及ぼしているのではないかということが分かってきています。

以前までの運動生理学の定説では、「運動により交感神経系が活性化され、その結果副腎からアドレナリンというホルモンが分泌される。

そのアドレナリンが脂肪組織に働きかけ脂肪の分解を促し、その分解により血液中に出てきた脂肪酸を筋肉が取り込みエネルギーにする。」というものでした。

これを政治に例えてみると、地方からの要求がその都度中央政府に伝えられ、そこでの議論の結果が地方に反映されるまでかなりの時間を要します。

この中央集権制で人の身体を動かしていくとすると、仮に脳が間違った指令を出した場合、体全体が間違った方向に進んでいってしまう危険性があるのです。

また、この考えで言うと脳が筋トレを行ったつもりになったり、筋トレを行った夢を見ただけでも、筋肉が太くなるといったことが起こり得ます。

しかし、実際ではそのようなことは起きないようになっています。

筋肉が実際に使用されたかどうか、激しい運動をしたかという情報分析が正しく行われることにより、筋肉が太く強くなるという仕組みが存在するのです。

パフォーマンスという観点においても、筋力を強くするためには、筋肉が発達していくだけでは不十分です。

筋肉を動かすために必要な脳も改善する必要がありますし、筋肉に栄養を供給するための消化器系も発達させることが求められます

そのために、筋肉は自ら「激しく動いている」という情報を発信して脳以外の組織にも状況を伝える役割を担っているのです。

それにより現在に相応しい肉体を作り上げていこうとするのです。

つまり、筋肉が脂肪の分解を促す物質を分泌する際に、それが直接的に脂肪組織に働く。

これはわざわざ中枢部が「脂肪を分解しろ」という指令を出さずとも、筋肉は動き続けるためのエネルギー供給を受けることが出来るわけです。

体の中にはこのような現場対応的なシステムが存在します。

つまり、これまで考えられていた中央集権制ではなく、地方自治的な運営がなされているのです。

 

「平行筋」「羽状筋」とは?

上記で筋肉の大切さや筋力アップの仕組みなどについて話してきました。

では次に、その増加する筋肉の種類についてお話しましょう。

先程述べたように、筋肉の一つ目の役割は「エンジン」としての働きですが、そのエンジンにも様々なタイプが存在します。

車で考えてみても、レーシングカーとブルドーザーで使われるエンジンは全く違いますよね。

これと同じことです。

早く回転できる仕組みが必要とされるのか、それとも大きなトルクが大切なのか、その目的によって基本設計が変わってきます。

筋肉も同じように、速く動くための筋肉もあれば、速く動かなくてもいい代わりに強い力がじわじわ出てくるような筋肉もあり、それぞれ基本設計が違うのです。

ではどのような部分が違うのでしょうか。

その答えは、「筋線維の並び方」です。これによりスピード指向型の筋肉と力指向型の筋肉がはっきり分かれるのです。

筋線維が平行に走り、中央部分が太くなっているようなよく漫画などで見かけるタイプの形をした筋肉のことを「平行筋」と呼びます。

今までは「紡錘状筋」と呼ばれていましたが最近は欧米で使われる用語を直訳したこちらが主流になっています。この筋は文字通りに筋線維1本1本が筋肉の長軸に対してほぼ平行に走っています。

それに対して、まるで鳥の羽のように筋線維が少し傾いた状態で斜めに走っている筋肉のことを「羽状筋」と呼びます。

「羽状筋」にはバリエーションが存在し、まさしく鳥の羽のように綺麗に左右に分かれているものと、羽を半分に切ったように片方だけに筋線維が伸びている「半羽状筋」があります。また、斜めになっている筋線維の角度も様々です。

そんな平行筋と羽状筋はそれぞれスピード指向型は平行筋、力指向型は羽状筋という2種類に分かれています。

平行筋はそれぞれの筋線維が平行に走っているため、1本の筋線維が収縮する長さは筋肉全体が収縮する長さと同じという特徴が存在します。

1秒間に筋線維が30%短くなれば、筋肉全体の長さも30%短くなるというわけです。

しかし羽状筋の場合は、1本あたりの長さが平行筋と比べ短いため、個々の筋線維が収縮した長さは筋肉全体から見ればほんのわずかな長さになってしまいます。

筋線維が1秒間に30%収縮したとしても、全体では10%程度の長さしか短くならない、つまり平行筋に比べ3分の1程度の収縮速度です。

筋線維が出した速さが筋肉全体の速さに反映されないので、羽状筋は速度という点において平行筋より不利ということになるのです。

しかしその一方で、羽状筋は個々の筋線維が短い分、より多数の筋線維が筋肉の中に詰まっていることになります。

さらに、短い筋線維が並列しているため、それぞれの筋線維が生み出すパワーを足し算で考えることができます。

これにより、より強い力を出すことが出来るのです。

つまり速度では平行筋に負けてしまう羽状筋は出せる力の強さで平行筋を上回るという特徴があるのです。

このように、筋肉は身体の中で要求されている役割や仕事に応じてその構造自体にも違いがあるということがいえます。

羽状筋の例としてとてもわかりやすいものはカニの爪です。

食べる時によく見てみるとわかりやすいのですが、1本1本の筋線維がかなり短いですよね。それが爪の根元にぎっしりと詰まっているため、カニが物を挟む力はとても強いのです。しかしそのような強い力を持っている割には速いスピードでそのハサミを動かすことは出来ないのです。

これぞまさしく羽状筋の特徴と言えるでしょう。

人間の場合では、「屈筋には平行筋が多く、四肢の伸筋には羽状筋が多い」という傾向があります。

例えば、ふくらはぎにある腓腹筋は典型的な羽状筋です。

羽が両側に開くようにハート型をしているのが外観からもよく分かります。

続いて、大腿四頭筋、上腕三頭筋も羽状筋です。

それもかなり角度の大きな羽状筋のため、大きな力を出すことに関して最適な構造をしています。

それに対し、いわゆる「力こぶ」を作り出す上腕二頭筋は平行筋の代表的な部位です。

太ももの裏の「ハムストリングス」と呼ばれる筋肉は構造で言えば羽状筋ですが、羽の傾きが非常に小さいため、平行筋に近い羽状筋と言えます。

足関節を伸ばす腓腹筋に対して、つま先を上げるための前脛骨筋も羽状角が狭い羽状筋です。

これらのように、腕や脚をのばすための筋肉は「力」に重点が置かれ、曲げるための筋肉は「スピード」や「動作の大きさ」に重点が置かれているという設計になっています。

そして、意外かもしれませんが、人間の身体全体で見た場合、平行筋の数は羽状筋よりも圧倒的に少ないのです。

一般的なイメージとしね、平行筋こそが典型的な筋肉というように思いがちなのですが、実は人間の身体の中での勢力でいえば、羽状筋の方がはるかに大きな存在なのです。

 

まとめ

今回は筋肉の存在意義や筋肉の仕組み、そして種類についてご紹介しました。

筋トレを行う上で、そもそも筋肉とはどういうものなのか、筋肉がないとどうなるのかを知るというのはとても大切なことだと思います。

これからも筋肉について新しい知識を知りながら、質の高いトレーニングを行っていきましょう。

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グを行っていきましょう。ボディークライブは、プロのトレーナーが執筆・監修した確かな情報だけをお届けします。ダイエットに悩んでいる方、ボディメイクが好きな方、健康な生活を送りたい方必見!