筋肉の成長を邪魔するミオスタチンの分泌をおさえよう
私たちの体の中には様々な器官があるわけですが、各器官は分解や代謝物を分泌するなど、多くの働きを持っています。その中で筋線維から分泌されるタンパク質の「ミオスタチン」というものが、筋肉の成長を邪魔するということがわかっているのです。

つまりミオスタチンの分泌を抑えることができれば、筋肉を効率よく育てられるということ。今回はこのミオスタチンについてご紹介します。

ミオスタチンとは?

ミオスタチンとは?
ミオスタチンとは何かというと、筋繊維から分泌されるタンパク質の一種です。厄介なことにこの成分には、筋肉の成長を強く抑制するという働きがあります。つまりがんばってトレーニングを行ったとしても、ミオスタチンのせいで筋肉の発達が邪魔されてしまうわけです。

もともと体内には、ミオスタチンのように筋量を抑制する作用を持つ因子のほかに、成長ホルモンのように筋量を促進する作用を持つ因子があり、それらがバランス良く働くことにより筋量を維持しています。このバランスが乱れミオスタチンがたくさん分泌された場合には、筋抑制効果が大きくなって筋肉が減少し、反対に分泌量が少なければ筋抑制効果が少なくなり、筋肉量が増加するのです。

参考:(PDF)5.科学の箱馬車 ミオスタチン(筋抑制因子)と競走馬の距離適性[PDF]

ミオスタチンは骨格筋から生産されているのですが、筋肉量のバランスを取るために存在しています。もしミオスタチンが作られなかった場合、身体は異常な筋肉の発達を遂げてしまうからです。

実際にミオスタチンの生成機能に問題があり、筋肉が発達しすぎてしまった牛や犬などもいます。ドイツでは筋肉量が2倍の赤ちゃんが発見され、スーパーベイビーとして話題になりました。これもミオスタチンの変異が原因です。

ミオスタチンの効果

ミオスタチンは筋肉と深い関わりを持っているわけですが、病気の治療にも役立つとして注目されています。例えば骨の密度が低くなり、骨折などのトラブルが起きやすくなる骨粗しょう症を救う手段としても、活用できるのではないかと研究が行われているのです。これはミオスタチンが欠損しているマウスで、骨量が増加することが確認されているからです。

参考:(PDF)骨粗鬆症診療の進歩:2019:1.骨粗鬆症発症のメカニズム[PDF]

また遺伝性筋疾患であり、骨格筋の壊死・再生が見られる筋ジストロフィーという難病がありますが、こちらの治療にもミオスタチンが活用されています。筋ジストロフィーは筋肉が弱くなってしまう病気なので、筋肉の発達を邪魔するミオスタチンの働きを抑えれば筋肉の発達を促進することが可能です。実際に筋ジストロフィーの治療では、抗ミオスタチン療法が行われています

参考:一般社団法人日本筋ジストロフィー協会:治療法の研究は進んでいるのですか?

ミオスタチンが筋肉の成長を阻害する原因

筋肉の中には筋サテライト細胞(筋衛星細胞)と呼ばれる単核の幹細胞が存在しています。この筋サテライト細胞は筋肉を発達させるのに重要な役割を持っており、分裂し増えることによって筋肉が発達したり、修復されたりするのです。しかしミオスタチンは、この筋サテライト細胞が増殖したり、分化するのを抑制する働きがあります。だからこそ筋肉が作られるのを抑えてしまうわけです。

もしミオスタチンが欠損した場合、筋サテライト細胞を抑制する働きがなくなるので筋サテライト細胞は増加し、筋肉は肥大します。筋肉を育てたいと考えている人からすると、ミオスタチンの働きは邪魔ととらえてしまいがちですが、ミオスタチンがなければ筋肉は異常に発達してしまうので、健康な身体を保つためにもなくてはならないタンパク質だといえるでしょう。

参考:(PDF)後藤勝正:骨格筋の再生:骨格筋の再生(筋損傷や筋萎縮からの回復)[PDF]

ミオスタチンを抑制するには?

ミオスタチンを抑制するには?
ミオスタチンの働きを抑制することができれば、効率的に筋肉を鍛えていくことができます。そこでできる限り、ミオスタチンの働きを鈍らせるための対策をしていきましょう。効果的な方法として挙げられるのが、ミオスタチンの抑制に役立つ食事、運動、栄養素に注目するということです。

ミオスタチンを抑制する食事

普段の食事内容を見直すことにより、ミオスタチンを抑制することが可能です。

エピカテキンを取り入れる

エピカテキンとは、フラボノイドの一種です。特にダークチョコレートやココアパウダー、緑茶、リンゴの皮などに多く含まれています。このエピカテキンにミオスタチンの分泌を抑える働きがあるのではないかとされているのです。ただまだ、その理由は解明されていないとのことなので、過度の期待は禁物だといえます。

有精卵を食べる

一般的にスーパーで販売されている卵は無精卵であり、精子が含まれていません。一方、精子が入っているものは有精卵と呼ばれます。この有精卵の黄身部分に、タンパク質の一種であるフォリスタチンというものが含まれているのですが、このフォリスタチンにミオスタチンの働きを抑制する働きがあると考えられているからです。有精卵を販売している場所は限られていますが、インターネットで通販もできるので気になる方はチェックしてみてください。

身体をアルカリ性に近づける

普段私たちが食べているものは酸性食品とアルカリ性食品に分類されるのですが、ミオスタチンは酸性に傾いている体内で働きが強くなるといわれているので、アルカリ性の食品に注目するのも一つの方法です。

例えば大豆製品や果物、海藻、野菜、キノコといったものはアルカリ性食品に分類され、肉類や卵、砂糖、魚介類などは酸性食品に分類されます。ただ肉類や卵は重要なたんぱく源であり、身体を鍛える上で欠かせませんよね。また食べものに注意したからといって、身体がアルカリ性になる、または酸性になるとはいえないという報告もあるので、それほど気にしなくても良いでしょう。

バランスの良い食事が大前提

いくらミオスタチンを抑制したいからといって、食事内容がアンバランスになってしまっては意味がありません。たとえミオスタチンを抑制することができたとしても、栄養バランスの整った食事を取らなければ筋肉は成長しませんよね。

食事だけでミオスタチンを抑制することは非常に難しいことなので、まずはバランスの良い食事を考えていきましょう。そのうえでできればミオスタチンを抑制するのに効果的な食事について考えていけると理想的です。

ジムトレーナーが教えるダイエット・ボディメイクの食事法

ミオスタチンを抑制する運動

マウスを使った動物実験があるのですが、その中で筋肉に強い刺激を与えたところ、ミオスタチンの量が減少したという結果が得られています。強い刺激を与えられた筋肉は損傷するわけなので、それを修復しなければなりません。筋肉を修復する際にミオスタチンは邪魔な働きをしてしまうので、自然と生成量が減るわけです。

そこで筋肉に負担をかけ、ミオスタチンの分泌量を抑えてみましょう。運動で同じように筋肉に強い刺激を与えれば、ミオスタチンを抑制する効果が期待できるのです。

例えば加圧トレーニングは、筋肉に効率よく負荷をかけ、ミオスタチンを抑える効果があります。加圧トレーニング自体にも、筋肉の成長に欠かせない成長ホルモンを分泌させる働きがあるので、効率の良い筋肥大を望んでいる方にとって注目のトレーニングです。

参考:(PDF)信州医誌,53(3):165~166,200:加圧トレーニング[PDF]

筋肉をより早く大きくさせるために必要なこと

ミオスタチン抑制を助ける栄養素

ミオスタチンの抑制を助ける栄養素として、代表的なのは次の2種類です。

クレアチン

クレアチンはもともと筋肉に含まれている物質で、瞬発的なパワーを出すのに欠かせません。またパワーやスピードを出すためにもなくてはならないものであり、トレーニングをする際のエネルギー源にもなります。

このクレアチンを摂取したところ、ミオスタチンが低下したという報告があるのです。クレアチン自体がトレーニング効果を高めるのに役立ってくれる物質なので、ぜひとも取り入れたいですね。

HMB

HMBとは、BCAAとして知られているロイシンの代謝物です。筋タンパク質の合成促進や分解抑制などの働きがあります。このHMBにミオスタチンを抑制する働きがあると報告されているので、取り入れていきましょう。クレアチンもHMBもサプリメントが出ているので、手軽に始めたいと考えている方にはサプリメントがおすすめです。

BCAAとは何?筋トレの効果を向上させる飲み方をご紹介します

ミオスタチンを抑制して理想的な体を手に入れよう

ミオスタチンを抑制して理想的な体を手に入れよう
今回はミオスタチンについてご紹介してきました。身体を鍛えている人にとって要注目の成分だといえるので、普段のトレーニングを行うにあたり、ミオスタチンをいかに抑えるかについてよく検討してみてはどうでしょうか。

効率良く筋肉を育てていくためにも、しっかりミオスタチンの働きをコントロールしていくことが大切です。

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http://bodyke-live.com/wp-content/uploads/2017/08/Myostatin_muscle.jpghttp://bodyke-live.com/wp-content/uploads/2017/08/Myostatin_muscle-150x150.jpgBodykeLIVE 編集部基礎知識私たちの体の中には様々な器官があるわけですが、各器官は分解や代謝物を分泌するなど、多くの働きを持っています。その中で筋線維から分泌されるタンパク質の「ミオスタチン」というものが、筋肉の成長を邪魔するということがわかっているのです。つまりミオスタチンの分泌を抑えることができれば、筋肉を効率よく育てられるということ。今回はこのミオスタチンについてご紹介します。ミオスタチンとは?ミオスタチンとは何かというと、筋繊維から分泌されるタンパク質の一種です。厄介なことにこの成分には、筋肉の成長を強く抑制するという働きがあります。つまりがんばってトレーニングを行ったとしても、ミオスタチンのせいで筋肉の発達が邪魔されてしまうわけです。もともと体内には、ミオスタチンのように筋量を抑制する作用を持つ因子のほかに、成長ホルモンのように筋量を促進する作用を持つ因子があり、それらがバランス良く働くことにより筋量を維持しています。このバランスが乱れミオスタチンがたくさん分泌された場合には、筋抑制効果が大きくなって筋肉が減少し、反対に分泌量が少なければ筋抑制効果が少なくなり、筋肉量が増加するのです。参考:(PDF)5.科学の箱馬車 ミオスタチン(筋抑制因子)と競走馬の距離適性ミオスタチンは骨格筋から生産されているのですが、筋肉量のバランスを取るために存在しています。もしミオスタチンが作られなかった場合、身体は異常な筋肉の発達を遂げてしまうからです。実際にミオスタチンの生成機能に問題があり、筋肉が発達しすぎてしまった牛や犬などもいます。ドイツでは筋肉量が2倍の赤ちゃんが発見され、スーパーベイビーとして話題になりました。これもミオスタチンの変異が原因です。ミオスタチンの効果ミオスタチンは筋肉と深い関わりを持っているわけですが、病気の治療にも役立つとして注目されています。例えば骨の密度が低くなり、骨折などのトラブルが起きやすくなる骨粗しょう症を救う手段としても、活用できるのではないかと研究が行われているのです。これはミオスタチンが欠損しているマウスで、骨量が増加することが確認されているからです。参考:(PDF)骨粗鬆症診療の進歩:2019:1.骨粗鬆症発症のメカニズムまた遺伝性筋疾患であり、骨格筋の壊死・再生が見られる筋ジストロフィーという難病がありますが、こちらの治療にもミオスタチンが活用されています。筋ジストロフィーは筋肉が弱くなってしまう病気なので、筋肉の発達を邪魔するミオスタチンの働きを抑えれば筋肉の発達を促進することが可能です。実際に筋ジストロフィーの治療では、抗ミオスタチン療法が行われています。参考:一般社団法人日本筋ジストロフィー協会:治療法の研究は進んでいるのですか?ミオスタチンが筋肉の成長を阻害する原因筋肉の中には筋サテライト細胞(筋衛星細胞)と呼ばれる単核の幹細胞が存在しています。この筋サテライト細胞は筋肉を発達させるのに重要な役割を持っており、分裂し増えることによって筋肉が発達したり、修復されたりするのです。しかしミオスタチンは、この筋サテライト細胞が増殖したり、分化するのを抑制する働きがあります。だからこそ筋肉が作られるのを抑えてしまうわけです。もしミオスタチンが欠損した場合、筋サテライト細胞を抑制する働きがなくなるので筋サテライト細胞は増加し、筋肉は肥大します。筋肉を育てたいと考えている人からすると、ミオスタチンの働きは邪魔ととらえてしまいがちですが、ミオスタチンがなければ筋肉は異常に発達してしまうので、健康な身体を保つためにもなくてはならないタンパク質だといえるでしょう。参考:(PDF)後藤勝正:骨格筋の再生:骨格筋の再生(筋損傷や筋萎縮からの回復)ミオスタチンを抑制するには?ミオスタチンの働きを抑制することができれば、効率的に筋肉を鍛えていくことができます。そこでできる限り、ミオスタチンの働きを鈍らせるための対策をしていきましょう。効果的な方法として挙げられるのが、ミオスタチンの抑制に役立つ食事、運動、栄養素に注目するということです。ミオスタチンを抑制する食事普段の食事内容を見直すことにより、ミオスタチンを抑制することが可能です。エピカテキンを取り入れるエピカテキンとは、フラボノイドの一種です。特にダークチョコレートやココアパウダー、緑茶、リンゴの皮などに多く含まれています。このエピカテキンにミオスタチンの分泌を抑える働きがあるのではないかとされているのです。ただまだ、その理由は解明されていないとのことなので、過度の期待は禁物だといえます。有精卵を食べる一般的にスーパーで販売されている卵は無精卵であり、精子が含まれていません。一方、精子が入っているものは有精卵と呼ばれます。この有精卵の黄身部分に、タンパク質の一種であるフォリスタチンというものが含まれているのですが、このフォリスタチンにミオスタチンの働きを抑制する働きがあると考えられているからです。有精卵を販売している場所は限られていますが、インターネットで通販もできるので気になる方はチェックしてみてください。身体をアルカリ性に近づける普段私たちが食べているものは酸性食品とアルカリ性食品に分類されるのですが、ミオスタチンは酸性に傾いている体内で働きが強くなるといわれているので、アルカリ性の食品に注目するのも一つの方法です。例えば大豆製品や果物、海藻、野菜、キノコといったものはアルカリ性食品に分類され、肉類や卵、砂糖、魚介類などは酸性食品に分類されます。ただ肉類や卵は重要なたんぱく源であり、身体を鍛える上で欠かせませんよね。また食べものに注意したからといって、身体がアルカリ性になる、または酸性になるとはいえないという報告もあるので、それほど気にしなくても良いでしょう。バランスの良い食事が大前提いくらミオスタチンを抑制したいからといって、食事内容がアンバランスになってしまっては意味がありません。たとえミオスタチンを抑制することができたとしても、栄養バランスの整った食事を取らなければ筋肉は成長しませんよね。食事だけでミオスタチンを抑制することは非常に難しいことなので、まずはバランスの良い食事を考えていきましょう。そのうえでできればミオスタチンを抑制するのに効果的な食事について考えていけると理想的です。 http://bodyke-live.com/food/diet-bodymake-how-to-eat/ミオスタチンを抑制する運動マウスを使った動物実験があるのですが、その中で筋肉に強い刺激を与えたところ、ミオスタチンの量が減少したという結果が得られています。強い刺激を与えられた筋肉は損傷するわけなので、それを修復しなければなりません。筋肉を修復する際にミオスタチンは邪魔な働きをしてしまうので、自然と生成量が減るわけです。そこで筋肉に負担をかけ、ミオスタチンの分泌量を抑えてみましょう。運動で同じように筋肉に強い刺激を与えれば、ミオスタチンを抑制する効果が期待できるのです。例えば加圧トレーニングは、筋肉に効率よく負荷をかけ、ミオスタチンを抑える効果があります。加圧トレーニング自体にも、筋肉の成長に欠かせない成長ホルモンを分泌させる働きがあるので、効率の良い筋肥大を望んでいる方にとって注目のトレーニングです。参考:(PDF)信州医誌,53(3):165~166,200:加圧トレーニングhttp://bodyke-live.com/training/make-your-muscles-faster/ミオスタチン抑制を助ける栄養素ミオスタチンの抑制を助ける栄養素として、代表的なのは次の2種類です。クレアチンクレアチンはもともと筋肉に含まれている物質で、瞬発的なパワーを出すのに欠かせません。またパワーやスピードを出すためにもなくてはならないものであり、トレーニングをする際のエネルギー源にもなります。このクレアチンを摂取したところ、ミオスタチンが低下したという報告があるのです。クレアチン自体がトレーニング効果を高めるのに役立ってくれる物質なので、ぜひとも取り入れたいですね。HMBHMBとは、BCAAとして知られているロイシンの代謝物です。筋タンパク質の合成促進や分解抑制などの働きがあります。このHMBにミオスタチンを抑制する働きがあると報告されているので、取り入れていきましょう。クレアチンもHMBもサプリメントが出ているので、手軽に始めたいと考えている方にはサプリメントがおすすめです。 http://bodyke-live.com/supplement/how-to-bcaa-the-effect-of-muscle-training-maximization/ミオスタチンを抑制して理想的な体を手に入れよう今回はミオスタチンについてご紹介してきました。身体を鍛えている人にとって要注目の成分だといえるので、普段のトレーニングを行うにあたり、ミオスタチンをいかに抑えるかについてよく検討してみてはどうでしょうか。効率良く筋肉を育てていくためにも、しっかりミオスタチンの働きをコントロールしていくことが大切です。ボディークライブは、プロのトレーナーが執筆・監修した確かな情報だけをお届けします。ダイエットに悩んでいる方、ボディメイクが好きな方、健康な生活を送りたい方必見!